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ジュネーブモーターショー視察後記
2007.03.29


こんにちは、吉澤です。

前回のエントリーでは「ジュネーブモーターショー」の様子をご紹介しました。
今回は、上司の石田が、スイスでのショー視察後、お隣の国フランスに視察に行った様子をご紹介します。

こんにちは、石田です。

「ジュネーブモーターショー」の視察を終え、私たちは一路パリへと向かいました。
とはいえ、ジュネーブからパリまでは飛行機で1時間ほど。飛んだと思ったらすぐに降りる感じです。そんな中でも機内食がちゃんと出るものですから、ゆっくり味わう暇もありませんでした

パリ

今回、我々がパリを訪れた理由は2つありました。1つは「パリモーターショー」の主催者に会うこと。そして2つ目は、会場を保有している施設管理会社を訪問することです。

「パリモーターショー」を主催しているのは、AMCプロモーションという会社。パリショーだけでなくアルゼンチンのブエノスアイレスショーやルーマニアのブカレストショーなどを手がけているショー運営専門の会社です。
ここを訪問した大きな目的は、「パリモーターショー」開催期間中に毎日発行している、『パリモーターショーニュース』という雑誌の編集方法を聞くこと。

『パリモーターショーニュース』は、「東京モーターショー」でいうところの会場案内パンフレットのようなものです。40ページくらいの雑誌形式になっていて、そのうちの13ページを、毎日現場でライターが書いて編集しているんです。
会期中の合計発行部数は何と120万部。多いときは、1日で15万部もお客様の手元に渡っているのでかなりの数になります

「東京モーターショー」でも、ショー開催中には「東京モーターショーニュース」を会場で毎日発行し、ウェブサイトにも掲載しています(4頁建てで、毎日日本語版3500部、英語版1500部発行)。話を聞いてみたら、「東京モーターショーニュース」の編集に携わっているスタッフ数と、『パリモーターショーニュース』に携わっている人数はほとんど同じでした。
その日の出来事をライターが原稿にして、その原稿を印刷所に送って、印刷された雑誌を印刷所からトラックで次の朝7時に会場に搬入して、ということを16日間毎日やっているんです。そして、それらをすべて広告費でまかなっている。コスト削減のため、印刷用紙を毎日価格交渉して購入しているとも言っていました。ちょっと日本では考えられないですね。しかし、こうしたアイデアは「東京モーターショー」でも取り入れることができるんじゃないかと思います。
今年は実現するための時間が足りないですが、2009年の「第41回東京モーターショー」ではぜひ実現してみたいですね


次に我々は、「パリモーターショー」の会場であるパリエクスポに向かいました。
実はこの日、パリエクスポでは『農業展』が開催されていました。


(『農業展』では家畜が主役です)

ウィークデーにもかかわらずものすごい数の人が来ていて、「パリモーターショー」より混んでいるんじゃないかと思ってしまったくらいです。主催者の方も、「何でこんなに人が入るんだ!?」って驚いていました


(会場内は家畜、家畜、家畜のオンパレードです)

会場では農業機具などの展示のほか、品評会もやっていました。
面白かったのは、会場に牛のミルクを絞る場所が用意されていたこと。


(牛のミルクを絞る場所です。)

ここで毎朝、牛のお乳を搾り、ホールの外で体を洗っているそうです。それなのに、なぜか会場内は臭うんですよね
ちなみにシャワーは温水だそうです。さすが農業国フランス、配慮が行き届いてますね。

さて、『農業展』の内容はここまでにしておいて、話を本題に戻しましょう。
今回訪問して驚いたのは、会場がとても綺麗に、使いやすくなっていたこと
私は2000年と2002年の「パリモーターショー」を視察しているのですが、このときは正直言って、「あまり綺麗じゃないし、使い勝手もよくない会場だな」と感じていました。
しかし、パリエクスポの施設管理会社は、その後毎年少しずつ改装を続けていたのです。この全面改装も2008年にはすべて終了するとのこと。

このような大規模な改装が行われた背景には、ヨーロッパという立地条件も大きく関係していると思われます。ご存じの通り、ヨーロッパは陸続きです。しかも各国でさまざまなイベントが行われ、数多くの展示会場が存在しています。そのため、施設管理会社は自分たちの施設を常に改善して、よりよいサービスを主催者に提供しないと、イベントで使ってもらえなくなってしまうんですね。
ヨーロッパの施設管理会社は、プライベートカンパニー、つまり一般の営利企業ということもあり、非常に危機意識が高いと感じました

ありがとうございました!

ジュネーブモーターショー
2007.03.22


これまで、海外のモーターショーの模様は、「ニューヨーク国際オートショー」、「英国国際モーターショー」「パリモーターショー」「北京モーターショー」などでご紹介してきました。
この中で私が参加したのは、「ニューヨーク国際オートショー」と「北京モーターショー」の2回。次はどこに行くのかなと思っていたら、3月6日から開催される「ジュネーブモーターショー」へ視察に行くとのニュースが飛び込んできました。ドキドキしながら待っていたところ……声はかかりませんでした
ということで今回は「ジュネーブモーターショー」の様子を、視察に行ってきた上司の石田に語ってもらいます。

こんにちは、石田です

私がジュネーブに来るのは今回で7回目です。


(ジュネーブの街並みです)

いつ来ても納得いかないのがホテルの宿泊料金の高さです
ジュネーブは、ホテルが少ないうえに古い建物ばかりだから街全体の客室数が少ないんです。だから、世界中からマスコミや関係者が集まる「ジュネーブモーターショー」の開催時期はホテルの予約を取るのが本当に大変。市内だと1年前でも取れないくらい。
しかもショー開催中の宿泊料金は、通常時の2倍から3倍くらいになっています
大きなイベントがあると宿泊料金が高くなるのはヨーロッパではよくあることなので、これはまだ我慢できます。でも、納得できないのは “最低3泊”という条件をつけていること。1泊でも3泊分の料金を取られてしまうんです! これには驚きましたね。
高いのはホテルだけじゃありません。食事も、ランチで3〜4千円、ディナーは7〜8千円もするんです。しかも大しておいしくない……
ジュネーブの人たちが、この物価でどうやって生活しているのか不思議に思います。

物価の高さには辟易してしまいましたが、ショー自体は素晴らしいものでした
会場のPalexpoはジュネーブ市中心部から電車で10分ほど。空港に隣接し、高速道路のインターも近くにあるという好立地です。アクセスのしやすさを最優先に建築したのでしょう。羽田空港の隣に展示会場があるという感じですね。


(ジュネーブモーターショー会場です)

会場に入ってまず感じたのは、会場全体が非常に見やすいということ。
ホールが独立してないので遠くまで見渡せます。非常に広い会場なのですが(東京モーターショーの約1.5倍です)、実際に歩いてみるとそんなに広く感じないんです。見やすく、歩きやすい会場でした。


(会場内はすっきりしていて遠くまで見渡せます)

実は「東京モーターショー」の真ん中の大きい通路は、「ジュネーブモーターショー」の直線通路を参考にしているんです。
ブースの作りとしては、いい意味でも悪い意味でもあっさりしています。東京のような作り込みはありませんでした。非常に見やすい環境ではあるけども、演出の部分では少し淋しい感じもしましたね


(オフィシャルグッズ売り場)

オフィシャルグッズは残念ながら、ジュネーブならではと思わせてくれる物はあまり無く、。Tシャツ、ボールペン、ピンバッジなど一般的な商品を販売していました。
スイスということで、アーミーナイフがあったのですが、機内に持ち込めないので諦めました


(展示されていた日本メーカーのエコカー)

昨年の「ジュネーブモーターショー」では、電気自動車・代替燃料のカテゴリーでのワールドプレミア(世界初お披露目の車)は1台もなかったのですが、今年は6台も出品されていました。このことからも、エコカーが世界中で注目を集めているということがよくわかりますね。


(四輪駆動車の試乗会会場です)

個人的に最も印象的だったのが、会場の外で四輪駆動車の試乗会をやっていたこと。
これまで屋外イベントを行っていなかった「ジュネーブモーターショー」が、ついに参加体験型のイベントを取り入れたということです。これには驚きましたね

通常、モーターショーは自動車生産国で開催されることがほとんどです。
ドイツのショーだとドイツメーカーが主役になっていますし、フランスならフランスのメーカーが主役です。会場の一番いい場所は自国のメーカーが取っているんですね。「東京モーターショー」では、ブースの位置をローテーションにしてできるだけ公平になるようにしていますが。それに対して、自動車を生産していないスイスで開催される「ジュネーブモーターショー」は、特定の国のメーカー色というものがなく、もっとも中立的なショーであると言えます。
だからこそ、どの国のメーカーも同等に扱われるし、特別注文で自動車の製作やデザインを行う、カロッツェリアメーカーや、小さなメーカーなども出品できるんですね。


(カロッツェリアメーカーが出品していたクルマ)

ニュートラルな視点で世界のモータリゼーションのトレンドが把握できる「ジュネーブモーターショー」の存在は、「東京モーターショー」を運営するにあたっても非常に参考になります。

ありがとうございました!
次回は「パリモーターショー」の主催者、そして会場を運営している会社で聞いた、ちょっとおもしろい話をご紹介します。お楽しみに!

バージョンアップを続ける出品規程
2007.03.08


こんにちは、吉澤です。

私の趣味はフラメンコ。いつも仕事が終わってから練習しているので、なかなかテレビを見る時間が取れないんです。
まだDVDレコーダーを持っていないので、パソコンにTVチューナーをつけて録画してます。電気代がもったいないと思いながらも、一日中電源は入れたまま。
だから、たまにOSのバージョンアップによって自動で再起動したりして、見たかった番組が録画されてないときもあるんです…
バージョンアップはセキュリティや操作性を向上させるものだから、仕方ないと思いつつも、見れなかった番組のことを考えると、かなりくやしい気持ちになります。

実は、「東京モーターショー」の出品規程も、パソコンのOSと同じように、毎年バージョンアップしていることをご存じですか? と言いますか、そもそも出品規程って何って言われる方もたくさんいらっしゃるかもしれませんね

簡潔に言うと、出品規程というのは東京モーターショーに出品いただく際の色々な決まりごと(展示ブースの施工や演出方法など…)をまとめたものです。
東京モーターショーでは、会期が終了したあと、我々事務局を中心に会場内で生じた問題点などの取りまとめを行うんです。取りまとめの基となるのは、出品各社の運営担当者で組織される、東京モーターショーの委員会メンバーが会期中に日替わりで行う会場視察
「来場者の休憩場所は十分か」や「各社の展示や運営に問題はないか」など、ショーの運営全般についてチェックを行い、レポートを提出してもらいます。
これらレポートの他にも、来場者の皆さんからいただいた貴重なご意見や評価を参考にしながら、改善が必要な事項、継続して実施すべき内容などを整理していきます。そして、出品規程についても、規制の緩和や新たな規程の追加などについて検討をするわけです。

そもそもなぜこんな規程が必要かというと、安全で快適な環境を実現することが私たちの大きな使命の1つだからなんです
また、展示を行う出品者にとっても、展示や運営がしやすく、そして効率を高めるような工夫が必要だからなんですね。そして世界5大ショーの一つとして、国際的にハイレベルな展示の模範となる事も求められますので、その点も配慮しています。

規程の改善に至った過去の事例の一つに、展示ブース内へのスロープの導入があります。
展示ブースのフロアには、床下に電気配線やターンテーブルなどの機材や、ブース自体の基礎が格納されるために、以前は展示ホールの床面から15cmくらい高くなっていました。

(展示ブースと展示ホール床面の段差)

つまり、展示ホールの床とブース床面には段差が生じているわけですが、段差をそのまま残してしまうと、来場者がつまずいてしまったり、車いすを利用されている方の障害になってしまうんですね。
そこで、出品者の方に、バリアフリーの視点でブース設計をしていただくよう、スロープの導入について規程を通してお願いしているわけなんです。

あと、これも以前実際にあった出来事なんですが、ご来場のお客様で展示ブース内の照明機器に触れてしまい、やけどをしてしまった方がいらっしゃいました。
この時は現場近くにあったカフェのスタッフから、「やけどをされたお客様に氷を提供しました」との報告があり、この件が判明したんです。
実際に現場で状況を確認したところ、やけどの理由は、照明自体が来場者の手が届く位置に設置されていたこと。そして、照明の発熱部が露出していたことが原因でした
この反省を生かして、その後の規程には「照明機器等の発熱によるやけどの防止措置を講じること」という項目が追加されたんですね。

もちろん、「東京モーターショー」の会場には救護所も設置されています。
お客様に応急手当などを行い、我々は救護所の利用記録から、施設物や展示ブースに関連した報告がないかを常に確認しています。
これは、現場で発生した問題にできるだけ早く対処するためなんです。

それ以外にも安全で快適な会場にするために、先ほどのカフェのスタッフのように、ショー運営に携わる出品者や関係者の皆さんにご協力いただくこともよくあります。
規程で定められているわけではありませんが、会場が混雑した場合には、ブースのスタッフや場内警備員が協力して動線を確保したり、一方通行を実施したり、それぞれ状況に合わせて対応することもとても重要です。
「東京モーターショー」に参加するすべてのスタッフが、来場してくださった方に安全で快適にショーを楽しんでほしいと願っているからこそ、円滑に運営され、これまで大きな事故もなく開催できたんだと思っています
「第40回東京モーターショー2007」も皆さんに“安全で快適な会場”をご提供できるように頑張っていきます!

運営スタッフは見た!
2007.03.01


こんにちは、吉澤です。

早いものでもう3月ですね。『第40回東京モーターショー2007』も、開催まであと8ヶ月を切ってしまいました! この調子だとアッという間に一般公開日の10月27日がやってきそう。気合いを入れ直して準備を進めなければ!

さて、前回のエントリーでは、株式会社ケン&スタッフの高橋秀さんに「東京モーターショー」の運営ノウハウについて語っていただきました。
今回はその続き、高橋さんが現場で体験した「東京モーターショー」の裏話について語っていただきます。
それでは、高橋さん、よろしくお願いします。

こんにちは、高橋です。
高橋氏
私たちがショーの運営に携わったのは、幕張メッセのこけら落としとなった1989年の『第28回東京モーターショー』から。この時も初めての参加で大変でしたが、特に記憶に残っているのは、その次の『第29回東京モーターショー』ですね。

実は、この時の「東京モーターショー」は、来場者が初めて200万人を突破した記念すべきショーだったんです。
ですが、現場の運営スタッフにとっては苦労の連続でしたね
なかでも思い出深いのは、フェラーリF40の展示
フェラーリF40が初めて日本で展示されるということで、車の周りは黒山の人だかりでした。お客様にハンドマイクで、「止まらないでください~」とお願いしても叫んでも、まったく聞いてくれないんです。ロープを持とうが柵を持とうが追いつかない。けが人が1人も出なかったのが不思議なくらいでした。
ただし、このときは、けが人は出ませんでしたが、迷子の子どもは続出しました。

どんなにサインボードがしっかり整備されていても、必ず迷子は出るものです。
迷子を探し出してご両親に引き合わせるのも、私たちの仕事の1つです。
迷子の知らせを受けると捜索班が総出で探すのですが、子どもたちは自分が迷子になったとは思ってない。むしろ、親が迷子になったと思っている子もいるくらいです

このときに、もう一つ大変だったのは『自動車ガイドブック』の販売です。
ショーが開催して1週間経ってもまったく売れない状態…
というのも、販売所を設置していたのが飲食売店の集まる休憩ゾーンだったから。「人が集まるから売れるだろう」という考えで場所を決めたのですが、実際は皆さん食べることに夢中で、『自動車ガイドブック』のことはほとんど目に入らないんですね。
(吉澤:自動車ガイドブックは国産車を網羅した年鑑本で、もう50年以上も自動車ファンに親しまれています。今年の第54巻は10月24日に発売です!昨年発売の第53巻はこちら

そこで、急きょ販売所をゲートやホールの近くに移転することにしました。
スタッフをかき集めて徹夜で作業をしたのですが、3つのお店を完全に移転するのに3日もかかってしまいました。販売所を動かす作業には大変な労力が必要ですが、スタッフの若い力を合わせて頑張りました。私自身も、若かったからやりとげられた部分もあると思います。今やれと言われても多分無理でしょう

でも、このときは苦労の甲斐あって、移転後の売り上げは急上昇しました
今も、このとき移転した場所に『自動車ガイドブック』の販売所を設置しています。
おそらく『第40回東京モーターショー2007』でも同じ場所にあるはずです。ゲートに入ったとき、もしくはホールに入る前には、少し周りを見渡してみてください。そして、販売所を見つけたら私を思い出し、ぜひ『自動車ガイドブック』の購入をお願いします

私たちは「ケン&スタッフ」としてだけでなく、「東京モーターショー」の一員として、常に看板を背負っているという感覚で仕事に取り組んでいます。だから事務局の方々に、「ここは改善したほうがいい」というような意見も遠慮なく言わせてもらってます。
このように、「東京モーターショー」は、ショー全体が常に改善されていて、最近はショーとしてかなり完成されてきたと感じます
これからも私たち運営スタッフは、「このショーには自分たちがいないとダメなんだ」くらいの感覚で「東京モーターショー」に携わっていくつもりですし、来場してくださる方のために、少しでも良いショーにできるよう、プロとしての意見を提案していきたいと思っています。

高橋さん、ありがとうございました~!
すべてのスタッフが情熱を持ってショーに参加しているからこそ、「東京モーターショー」は世界の5大モーターショーでもトップクラスの評価をもらうほどに発展したんですね。
私も高橋さんの熱意に負けないように、気合いを入れて『第40回東京モーターショー2007』を素晴らしいものにしたいと思います

Japanese / English
モデレータ紹介
東京モーターショー事務局の吉澤です!10月の第40回東京モーターショー開幕に向け、事務局も準備にフル回転! ブログではフラメンコのような“熱い”情報をお届けしていきます。お楽しみに!
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